未来農林事業開発研究会

未来農林事業開発研究会とは

「未来農林事業開発研究会」は、第一次産業(農・ 林業・ 林業・ バイオ)技術と第二次産業(工業)技術の利点・欠点を調査し、各々の良いところを融合・ 組み合わせることで、新しい農業 ・林農業 ・林業技術の創造と普及、新規 ビジネス創出と事業化の実現を目的して設立しました。

本研究会は研究プロジェクト体制・組織(RPリーダー)の下に、基礎研究から応用研究、開発、事業化までを一貫して推進します。なお、シーズ志向よりもニーズ志向を重視し、且つ、新しい技術・事業の実社会への実現を第一義とし、必要に応じて、基礎研究、応用研究、事業開発、および事業化(ビジネス)を行うことを基本としています。

新体制移行について
未来農林開発事業研究会は2009年4月に元通産省所管(社)日本工業技術振興協会(JTTAS)の事業として本研究会をスタートしました。
その目的は、JTTASのミッションである「幅広い会員(科学者・技術者・事業経験者・経営者等)が主体となり、産学官連携により技術・商品開発から新規事業設立を支援する」に則り、「一次産業(農林業)の技術(農学・生物学・バイオ)」と「二次産業(ものつくり産業)の技術(機械、電気、自動化、情報通信、経営工学、等)」と「三次産業(販売・観光・物流等)の技術」を組み合わせることで、イノベーション(革新的新技術・新ビジネスの創造)を起こし、「世界の食糧不足と日本の農林業を魅力ある産業にする」ことです。
しかし、活動の場であるJTTASが行政改革(省庁所管の社団法人廃止)に伴い2014年11月に解消しました。
そこで、2015年10月に新たに設立した(一社)日本シニア起業支援機構(J-SCORE)(*1)の登録グループの研究会として2016年4月から新しい体制で再スタートをしました。
 
 

未来農林事業開発研究会のご紹介

平成24年1月4日作成

1.研究会設立の趣旨(背景と目的)

1-1食料を取り巻く世界の環境

今世紀半ばには世界人口は90億人に達し、一方、食物生産の基盤である農地面積は、経済発展に伴う都市化の影響を受けて減少の一途をたどり、加えて、工業およびエネルギー資源である石油代替としてのバイオマスとの競合および地球温暖化・気象変動等、様々な要因により食料不足が危惧されている。その対応として各国は国家戦略として、二国間における長期的契約(農産物取引、農地利用権等)を結ぶ一方で食料の輸出制限を表明していることは周知の通りである。

1-2日本の農林業を取り巻く環境

日本の食糧自給率(カローベース40%)は先進国の中で一番低い状態は続いている。一方で、埼玉県と同等面積の休耕田が発生している。また、資源(工業およびエネルギー)においては、その大半を輸入に頼っているのが現状である。近年グローバル化に伴い、自由貿易連携協定(FTA)、環太平洋経済連携協定(TPP)等を通じ多くの国が積極的に経済連携・自由貿易を進める中、日本は農業問題が障壁となり政府はその対応に苦慮している。しかし、資源の乏しい日本は、ものつくりと貿易で経済を支えていることは疑う余地はない。日本がこの波に乗り遅れれば将来に大きな禍根を残す。「将来を見据えた食料と資源の長期に亘り安定的な取得への対応」の優劣が、これからの日本の経済成長および平和な社会構築に大きく左右すると言っても過言ではない。その為には従来の発想・仕組みから脱皮し、新たな発想で「農業改革」をすることが急務である。

1-3農業改革

農業改革は、関係するところが多岐にわたるため簡単ではない。そのためには、「従来の4つの壁(省庁、産業、学際、意識)」を超え、全国民が新たな発想で取り組むことが必要であり、以下具体的な提言・期待を述べる。

  1. 大切な森林・農地の多様的な活用
    水田はコメ生産の外に、水源の涵養(小規模なダム)、生物多様性の環境、観光資源としての景観などの役割を担っている。国土の大半を占める森林・農地は貴重な国の財源であり、その財源を総合的な観点から多面的に活用を図り、経済および文化の維持・発展に役立てることが重要である。その為には、全ての省庁の壁を越えた総合的な政策が必要である。最近、行政として、第一次産業の衰退を防ぎ、維持・発展を図ることを目的に、経産省と農林水産省が連携し種々の対応に力を入れていることは周知の通りである。
  2. 一次産業(生産重視)から総合産業(六次産業)
    農業を魅力ある産業にするためには、生産(一次産業)だけでなく、農作物を加工し付加価値をつけ(二次産業)、更に保存・物流・販売(三次産業)を考慮した総合的な産業(六次産業)に推し進めることが重要である。
  3. 総合科学技術の連携強化
    6次産業化のためには、日本が誇る「強いものつくり」の経営手法とエンジニアリング(機械、化学、IT,自動化等)を積極的に導入することが望まれる。これまでは農学・バイオが主体で、それ以外の科学技術(工学、医学、経済、気象、経営工学)の関与が少なく、他の産業に比較し近代化(情報化、自動化、最適化、コスト低減)が大きく遅れている。これからの時代の農業は「総合科学技術産業」と捉えて、多くの分野の科学技術が専門の壁をなくし、これまでの専門分野だけに拘らず、これまで培った技術を農業分野へ活用することにより、世界および日本の食料問題の解決に貢献されることを期待したい。
  4. 国内重視から海外展開へ
    最近の世界的な自由貿易の流れの中、日本の食料自給率の向上と併せて総合的な経済発展を考慮し、途上国に日本の優れた技術を移転し、そこで安全でコストの安い農作物を生産し輸入できる仕組みを構築することが日本の食の安定化と世界的貢献の両方を満足できる最善策であると考える。TPPの参加を農業の大規模化・集約化・効率化へのチャンスと捉えて、長期的な視野で対策を行うことが重要である。

2.未来農林事業開発研究会設立の目的

(社)日本工業技術新区協会(略称JTTAS)のミッション(産学官の連携による技術の開発および新規事業の設立支援)と協会の強み(技術士はじめ多くの科学者・技術者、事業経験者、経営者等,幅広い会員)を活かして、我々は「第一次産業(農業・林業・バイオ)技術」と「第二次産業(工業)技術」の利点・欠点を調査し、各々の良いところを融合・組み合わせることで、新しい農業・林業技術の創造と普及、新規ビジネス創出と事業化の実現を目的として「未来農林事業開発研究会」を社団法人 日本工業技術振興協会内に設立しました。(2009年4月1日 発足)

3.研究会の基本方針

本研究会は全ての分野を超えて、様々な分野の人で構成され、従来にない新しい発想で、新しい技術・事業の創出を目指しています。即ち、これまでの一次産業・二次産業・三次産業を統合し、医学・工学・農学の融合、基礎研究、応用研究、開発の連携で事業を明確にした研究プロジェクト(RP:Research Project)を推進していきます。
更にまた、本研究会は研究プロジェクト体制・組織(RPリーダー)の下に、基礎研究から応用研究、開発、事業化までを一貫して推進します。なお、シーズ志向よりもニーズ志向を重視し、且つ、新しい技術・事業の実社会への実現を第一義とし、必要に応じて、基礎研究、応用研究、事業開発、および事業化(ビジネス)を行うことを基本としています。
本研究会の基本方針はつぎの通りです。

  1. (社)日本工業技術振興協会の研究会支援事業の一つであり、公益社団法人の趣旨に則った活動をする。
  2. 本研究会は総合研究会議(総合的マネジメント体制)の下に、研究規模・内容に応じて適宜、研究プロジェクト体制・組織をとる。
  3. 研究会の構成メンバーは産学官から広く募集する。
  4. 研究運営費は、年会費(学生会員、ボランティア会員、個人会員、法人会員、賛助会員)と外部資金(公的競争研究費または財団・企業公募資金、共同研究先資金)で賄う。
  5. 特定の企業で研究成果を活用し事業開始(販売)が行われた段階で、研究プロジェクトの役割は原則として終了とする。
  6. 特定の企業が事業開始した後の研究については、企業と研究者の間で個別に協議する。