総合的リスクマネジメント(TRM)研究会

総合的リスクマネジメント(TRM)とは

(1)リスクの定義
リスクとは、環境変化は全てリスクである。
(注記)
リスクの定義は、「ISO31000の定義である「不確かさの影響」を重視し、それに加えて、環境変化は「不確かさ」を有しているので、環境変化は全てリスクである」としている。

(2)総合的リスクマネジメント(TRM)の定義
総合的リスクマネジメントとは、環境変化を全てリスクと捉え、プラスとマイナスの両面から考慮し、加えて、時間軸(短期・中期・長期)の視点を考慮した全体最適(費用対効果の最大)を実現する経営戦略である。
(注記)TRM:Total Risk Managementの略称

総合的リスクマネジメント研究会の設立趣旨

リスクマネジメントは、以前から世界の国々で「国や企業における経営手法の一つ」として活用されていたが、世界的に統一した標準規格はなかった。

しかし、2009年にリスクマネジメント国際標準ISO31000が公開され、それに準じて1010年にリスクマネジメント日本版JIAQ31000が制定された。

それによると「リスクの定義は不確かさの影響である。不確かさとは目標に対して、プラスとマイナス両面の影響を持ちうる不確実性を対象とする。影響とは、好ましい方向(好機)、好ましくない方向(危険)の両方に乖離することである」と記述されている。

しかし、日本の多くの企業は、「リスクとは、幣害、危険、損害を被ること」と従来のマイナス面に偏った認識であり、リスクマネジメント(リスク対策)は、危機が生じた後の対策(保険的)が主体であり、コストパフォーマンスは必ずしも良くない。

我々の研究会は、上記した斬新的なリスクの定義「環境変化は全てリスクである」とし、望ましいリスクマネジメントとは、「そのリスクを総合的視点(プラスとマイナスの両面、短期・中期・長期)から考慮し、全体最適を目指す経営戦略」としている。

環境変化をリスクと捉えた理由

環境変化は益々多様化し、そのスピードはかつて経験したことのない早さです。マイナスリスクは顕在化(発生)してからその対策を施すような従来型のリスクマネジメントでは、変化のスピードに改善策は追いつかず、抜本的な対策とはなり得ない。

戦後の成長期は、物不足、為替(円安)、人件費(低価)、人口増加(労働人口増・需要増)が経済成長のプラス要因となり、特に製造業(ものつくり)においては、日本人の長所である「勤勉・器用・平等・協調」を活かし、「Q(品質)・C(コスト)・D(納期)」を遵守すれば顧客から安定的な受注が可能であった。

しかし、近年のように変化の激しい時代は、「変化はチャンスでもありピンチ(リスク)でもある」と捉え、変化を鋭敏に感受し、リスク評価(分析・評価)を適切(迅速・正確)に行い、その変化をチャンスと捉え、攻めの対策(イノベーション重視)がリスクマネジメントに望まれている。

従来、日本企業においては、企業統治(コーポレート・ガバナンス)、内部統制、COSO、ERM(統合リスクマネジメント)J-SOX法(日本版SOX法)、リスク管理、危機管理、事業継続等、の解釈は異なっており、それぞれの会社に則した内容で対応されていたと理解している。

しかし、多くの企業は、品質リスク(ISO9000)、環境リスク(ISO14000)、安全リスク、危機リスク、等が、それぞれのリスク分野・担当部署で行われおり、部分最適としては役割を果していたが、近年、企業を取り巻く環境変化が多様化・迅速化する中、全体最適としては不十分であり、寧ろ、過剰な部分最適は全体最適の弊害になることが明確になってきた。

近年、世界的に統括的マネジメント(ERM:Enter Risk Management)が注目されている。世界的にはRIMS(ニューヨークに本社)が、日本では一般財団法人リスクマネジメント協会(日本RIMS支部)が、その普及促進に注力している。

J-SCOREも設立当初からERMを取り入れ、研究と普及活動をしてきた。

しかし、ERMは欧米型の株主重視の資本主義の中の企業におけるリスクマネジメントであり、短期的経営重視で長期的(持続)な視点が重視され持続型環境変化に対する望ましいリスクマネジメントとしては物足りないところがあった。

そこで、環境変化の時代に最もふさわしいリスクマネジメントを研究し、ERMを進化させたTRMとして、その研究と普及(現場で実践)活動をしている。

優れた会社は、環境変化をリスクと捉え、に迅速かつ適切に対応している結果、持続的に成長を続けていますが、変化に気付かず対策が後追いになっている企業は経営が悪化し、廃業または倒産を余儀なくされています。リスクマネジメントの優劣は企業の存亡を左右するだけではなく、国・地域・個人においても同じことが言えます。

そこで、リスクマネジメント協会(RIMS)主催の研究会の一つである「ERM研究会(松井武久が幹事)」の会員に加え、J-SCORE所管の総合リスクマネジメント研究会で新規に参加者を募り、出来るだけ多くの人に参加して頂き推進することを望んでいる。

是非、J-SCORE主催の総合的リスクマネジメント(TRM)研究会のメンバーとして参加されることをお願い致します。なお、総合的リスクマネジメント研究会の申込要領はJ-SCOREのHPをご覧ください。

戦後、日本は世界で稀に見るスピードで経済発展を成し遂げ、国の経済力を表す国内総生産(GDP)で、2010年にアメリカに次いで第二位となった。しかし、近年グローバル化が進む中、日本の国際競争力は低下し、バブル崩壊後30余年間、経済成長が低迷を続けている。

その間に、国内においては、「地域間格差拡大、企業間格差拡大、高齢者増加による医療・介護費の増大、自然災害(地震、洪水、猛暑、寒冷等による被害)の多発し、その対策として、国政は経済の活性化として赤字予算を続け、財政赤字が、企業、国民は、それぞれ各種の対策を施しているが、殆どその効果は認められず、寧ろ、国際貿易収支赤字、財政悪化、貧富格差拡大、等、悪化傾向にあり、国民の多くは「現状への不満と将来への不安」を抱いている。

何故、改善されないのか。その原因究明と抜本策をリスクマネジメントの視点で考えることが研究会の趣旨である。

世界の環境変化

世界的変化では、「国際化(ISO、会計基準、自由貿易)、環境重視社会(SGDs重視、温暖化、リサイクル、環境汚染)、ICT・AI・IOT技術革新、エネルギー(持続的思想、資源安保、再生エネルギー)、食料(食糧安保、安全・安心、気象異常による食料不足、人口増加(アフリカ、発展途上国)、テロ・紛争(中近東、ロシア、北朝鮮)、気象異常による災害、自国第一主義、自然破壊、貧富の格差拡大、等」

国内の環境変化

国内的変化では、「安全保障(国際平和への貢献、隣国と摩擦)、GDP低迷(競争力低下、貿易収支悪化)、エネルギー不足(再生エネルギー、省エネ)、自然災害増加(洪水、がけ崩れ、地震、干ばつ)、農業の衰退(食糧不足、休耕田増加)、男女平等社会、少子高齢化、医療・介護負担増、人口減少、東京一極集中、山村の過疎化、行財政赤字増大、等」

総合的リスクマネジメント(TRM)研究会の概要

(1)研究会の目的

①参加者のリスクマネジメント力(知識の習得・実践応用力)の向上を図る。
②参加者間を通じて、人脈創りと相乗効果(情報交換・協力・支援)を図る。
③研究成果を文章にまとめ広く公開(講演・論文・著書)し、人材育成と普及に役立てる。
④総合的リスクマネジメント(TRM)の成果を活かして、国・企業・個人の持続的発展に寄与する。

(2)研究会の内容

リスクマネジメントの概念・理論の研究
TRMの概念と理論を理解するために、ERMとそれに関連する各種マネジメント手法(企業統治、内部統制、リスク管理、危機管理、事業継続)、国際標準(ISO31000、ISO9000、ISO14000、ERM等)と比較し、それらの特徴と関連性を研究する。

各種手法の研究
具体的なテーマを総合的マネジメント(TRM)で研究する時に、各種の手法が必要となる。その手法を習得する。

<必要な手法>

リスク摘出法、リスク評価法、重み付け(優先順位付けの方法)、リスクマネジメントの評価法(網羅性、有効性、妥当性)、リスクマネジメント監査、企業統治、内部統制、危機管理、BCP,コンプライアンス等)
経営手法(SWOT分析、ポートフォリオ、等)、各種管理(安全、品質、環境、等)、経営工学(VA/VE、IE、作業分析、生産工学、等)

③具体的な実践テーマを総合的リスクマネジメントで研究
環境変化(現象)をリスク案件と捉え、その変化を総合的リスクマネジメント(TRM)の視点から研究する。環境変化としては、「グローバル化」、「日本経済低迷」、「国・地域の大幅財政赤字」、「少子高齢化」、「人口減少」、「原子力発電への圧力」、「気象変動」、「TPP締結」、「社会インフラ劣化」、「2020年東京オリンピック」、「東京一極集中と地域の過疎化」等。

なお、具体的な対象分野としては、上記の変化に対応する案件、「世界平和」、「隣国諸国関連」、「地球温暖化」「ものつくり産業」、「医療と介護」、「自然災害」、「関東地区一極集中」、「地域(農村)」、「教育」、「社会インフラの安全」、「食品安心」、「地域紛争・テロ」等です。

変化(現象)と対象分野の組合せにより、種々の実践リスクが考えられるが、研究課題は研究会メンバーの意見・要望を調査し最終決定する。

過去のテーマ
2013年高齢者の医療と健康に関するリスク ~楽しく幸せを感じる医療と食と運動~
2014年少子高齢化社会のリスクマネジメント ~老若男女が共に幸せを感じる社会の構築~
2015年地方創生とリスクマネジメント ~自然と技術の調和した近代都市の創生~
2016年世界平和と日本国民の幸福とリスク ~人種差別・宗教差別・貧富の格差~
2017年法令改正とリスクマネジメント ~個人情報保護法~
2018年働き方改革とリスクマネジメント ~デジタル化の活用と働き方改革~
2019年コロナ感染とリスクマネジメント(その1)~日本と海外の対応から学ぶ~
2020年コロナ感染とリスクマネジメント(その2)~守りと攻めのバランスのあるリスクマネジメント~
2021年行政改革とリスクマネジメント ~行政のDX化と生産性向上~
2022年医療・介護とリスクマネジメント ~予防は最大の治療なり~
ウクライナ戦争とリスクマネジメント~世界戦争を発生させないための対策を考える~
2023年の研究テーマの選定について

日本社会を取巻く環境は、少子高齢化に伴い、労働人口減少、経済成長への悪影響、医療・介護財政赤字、農業従事者不足等、山村地域の過疎化など、大きな問題が生じている。他方、技術革新「情報通信技術(ICT)、人工知能(AI)、IOT技術、ビッグデータ等」が急速に進んでいる。それらの技術は、活用次第で社会にプラスとマイナスの影響を与える。そこで、革新技術が国・地域・企業・個人にどのような影響を与えるかを、TRMの視点で研究する。研究会は、テレビ会議、メール等を活用し、効率的な運営をする。

<候補テーマ>

◆DX化とリスクマネジメント
・AI・IOT・ロボットの活用とリスクマネジメント(防犯・防災への活用で安全・安心な生活の実現)
・「認識系AI(顔認識、医療画像診断、自動運転など)と生成系AI(翻訳、ChatGPTなど)
とリスクマネジメント(賢い活用によるメリットとマイナスリスク)
◆高齢化社会とリスクマネジメント(人生100年時代の望ましい姿を求めて)
◆地方創成とリスクマネジメント(団塊の世代に期待するスマート農業)
◆中国ビジネスとリスクマネジメント(世界平和と中国との交流を探る)

(3)研究会の進め方

一般財団法人リスクマネジメント協会(日本RIMS)と連携。

スケジュールは、原則として毎月1回(詳細日時は研究会参加者にアンケートにより決定)

研究場所(場所):日本シニア起業支援機構(J-SCORE)事務所

  • J-SCORE事務所をメイン会場とし、他の場所でテレビ会議を活用し参加することは可能である。
  • パソコン・プロジェクターを活用し、効率よい研究会とする。
  • 各自、関連ある情報を日々収集に努め、それらの情報を研究会参加者に提供し、情報を共有する。

研究会会員の役割

  • 事前調査(アンケート、著書・文献・新聞等からの調査)に協力
  • 宿題に可能な範囲で協力する
  • 研究会に積極的に参加する(研究会への出席、意見を述べる)
  • 議事録、論文の作成に参加する。
  • 会員以外の人に伝承する
  • 機会をとらえて、行政・企業への発信をする。

研究会の成果論文提供

過去の研究テーマの成果論文は、PDFをメールで提供します。
資料費は、事務費と論文の価値として、1000円/論文1件を頂きます。
必要な人は、下記の申込フォームに記入下さい。

振込先:ゆうちょ銀行

振込元金融機関 記号、店名・店番 口座の種類 (番号) 口座名義
ゆうちょ銀行から 記号 10170 普通)72311021 一般社団法人 日本シニア起業支援機構
シャ)ニホンシニアキギョウシエンキコウ
他の金融機関から 店名(〇一八) 店番 018 普通)7231102 一般社団法人 日本シニア起業支援機構
シャ)ニホンシニアキギョウシエンキコウ

振込先:三菱UFJ銀行

銀行名 (銀行コード) 支店名 (支店コード) 口座の種類 (番号) 口座名義
三菱UFJ銀行 (0005) 麹町支店(616) 普通)0226573 一般社団法人 日本シニア起業支援機構
シャ)ニホンシニアキギョウシエンキコウ
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